先崎栄伸・作「千手観音」ブロンズ
鑑真が日本に伝えた千手観音の尊いご利益
 悩める衆生に遍くさしのべられる無限の手
 正統派の仏づくりで知られる江戸仏師 先崎栄伸 最晩年の傑作
 千の手と千の眼を持って衆生を救うといわれる千手観音は、奈良時代の754年、たび重なる苦難の末、唐から渡ってきた鑑真(688-763)によって日本に伝えられました。十一面観音とともにもっとも古くから日本で信仰されてきた観音さまのひとつで、奈良唐招提寺金堂、京都三十三間堂、大阪葛井寺など国宝に指定された多くの千手観音像が残されています。
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 千という数字は具体的な数字だけではなく無限を象徴するものです。脇手は千手観音の法力をあらわす諸仏具を執持しています。栄伸師の制作した千手観音では、十二面二十臂のお姿で表されています。本体のお顔の他に、髻(もとどり)を囲むように十の変化面、そして天辺に頂上仏面が配されています。両手を正面で合掌し、その下で宝鉢(腹の病を治す)を持った宝鉢手を組み、その外側には右手で錫杖(音を出す杖で毒蛇などを退けた)を、左手で鉾(先端が三つに分かれた武器)をささげ持っています。右脇手は上から化仏(衆生を救うために如来が出現させる仮の仏形)、月輪(月精摩尼、熱や毒の病を癒す)、化宮殿(浄土にある御殿)、宝箭(良き友を得る宝の矢)、鉞斧(えっぷ、魔性を断ち切る斧)、白蓮華(さまざまな功徳を成就させる)そして何も持っていない施無畏(この印を結ぶと種々の畏怖をとりのぞく)手。左脇手は上から化仏、日輪(日精摩尼、闇を照らす)、不退転宝輪(悟りを求める心を導く)、宝弓(武運ひいては出世をのぞむ)、払子(ほっす、煩悩を払う)、澡瓶(そうびょう、梵天の世界に生まれ変わる)、数珠の順に持しています。※持仏具の法力・名称には諸説あり、前述に限定したものではありません。
光背背面に銘

先崎栄伸・作
「千手観音」

【仕様・体裁】
本体:ブロンズ製 
   本金粉装飾
(瓔珞、腕釧など装身具部)
 寸法:高さ66 x 左右31.5 x 奥行23.5cm
 重量:約13kg
 目録書付(先崎家のご厚意により、
  師が生前ご愛用の落款を押印しました。)

税込価格 660,000円
先崎栄伸 せんざき えいしん
大正6年福島県に生まれる。昭和6年仏教美術協会創立会員・代表の阿井瑞岑に師事。10年帝展に初入選。以後、文展、日展、正統木彫家協会展、日本美術協会展等に出品受賞。戦後は仏教美術彫刻に専念。29年「仏教美術協会」設立に参加。立動美術会委員、三軌会彫刻部長を歴任。51年文部大臣賞受賞。60年彫玄会代表として第1回彫玄会展開催。59年「千手観音」製作 61年逝去。その他、インド、中国、ジャワ島など各国に仏教美術研究旅行。曹洞宗大本山総持寺舎利殿本尊「説法釈迦」、大圓寺七大観音「聖観音」「千手観音」(東京)、浅草寺五重塔内百観音のうち4体(東京)、大雄山最乗寺「文殊・普賢菩薩」(小田原)ほか各地の寺院の本尊、仏像を制作。 

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