初版の版木を使った稀少な価値ある完全復刷本
五升庵蝶夢「芭蕉翁繪詞傳」(木版三冊本揃) 
俳聖・松尾芭蕉の百回忌を記念し制作された“芭蕉伝”の最高傑作「芭蕉翁絵詞伝」
日本唯一の手摺木版和装本出版社「芸艸堂
(うんそうどう)」に
伝来保管される江戸期の初版の版木を使用
“漂泊の俳聖”のイメージを決定づけた芭蕉伝が二百年ぶりに完全復刷! 
「芭蕉翁繪詞傳」について
 世界的な文学『奥の細道』をのこし、「俳諧」を芸術の域にまで高めた俳聖・松尾芭蕉(1644-1694)。
 没後も与謝野蕪村(1716-1784)ら「蕉風」を嗣ぐ文人などにより顕彰され続けてきましたが、現在われわれが抱く「漂泊の俳聖」というイメージは、芭蕉没後の百回忌に五升庵蝶夢が著した伝記『芭蕉翁繪詞傳』に拠るところが大きいといわれています。
 『芭蕉翁繪詞傳』は、芭蕉の生涯の主要な出来事を、三巻の絵詞(えことば)にまとめたもので、『奥の細道』『芭蕉翁文集』『芭蕉翁発句集』などの名文・名句を鑑賞しながら芭蕉の文学と人生に近づける内容となっています。
五升庵蝶夢が芭蕉九十九回忌(寛政4(1792)年)の忌日に、芭蕉の菩提寺である義仲寺(大津市)に奉納したもので、絵は狩野正栄至信、詞は五升庵蝶夢の手になります。
 翌年の芭蕉の百回忌(寛政5年)に刊行された版画本では、京都の画家・吉田偃武(よしだ えんぶ、1768-1816)が版画用に絵を縮小し描き、その33図もの親しみやすい挿絵もあいまって、人気を博し、芭蕉の評価をより高める一助となりました。
 今回版元となった芸艸堂(うんそうどう)では、明治年間に入手した数多くの江戸期の版木のなかに「芭蕉翁絵詞伝」の初版の原版木を発見、厳密な摺刷を経て、見事に復刷しました。 
挿絵「富士川の図」 
保管版木  

内容紹介]
「芭蕉庵笠はりの図」の詞書 
「芭蕉庵笠はり」読み下し(別冊解説書より)
芭蕉の句をちりばめた芭蕉伝を江戸時代の人気絵師の挿絵とともに味わえます。
「芭蕉庵笠はり」脚注(別冊解説書より)
「芭蕉庵笠はりの図」 

五升庵蝶夢(ごしょうあん ちょうむ)1732-1795

浄土宗の僧。蕉門俳諧の主導者。明和3年35歳で住職を辞し、洛東岡崎に草庵を結ぶ。芭蕉吟「はるたつや新年古き米五升」に因んで五升庵と命名、以後没するまで芭蕉顕彰の俳諧活動に生涯を捧げた。義仲寺での芭蕉忌法要、芭蕉塚建立、芭蕉堂再建はもとより、『奥の細道』の校訂を手始めに、『芭蕉翁発句集』『芭蕉翁文集』『芭蕉翁俳諧集』などを刊行、芭蕉作品の全体を編纂整備する。芭蕉顕彰の総仕上げとして、寛政5年の芭蕉翁百回忌供養に芭蕉の徳を永遠に頌美する書物として、『芭蕉翁絵詞伝』を結実させる。 

五升庵蝶夢像
(『意新能日可麗』より)

五升庵蝶夢『芭蕉翁絵詞伝』〈手摺木版本〉
文・五升庵蝶夢
絵・吉田偃武
[仕様・体裁]
版 型:大本(天地277ミリx左右197ミリ)
体 裁:袋綴3冊、解説1冊、麻布帙収納
版 本:手摺木版(墨摺)=佐藤美術木版画工房
    上巻=25丁 中巻=30丁 下巻=31丁
    挿絵=全33図
解説書:解説=田中道雄佐賀大学名誉教授 
    解説および本文全文、注釈付
版 元:芸艸堂(うんそうどう)

税込価格51,700


版元[芸艸堂(うんそうどう)
明治24年(1891)の創業以来、自社出版の木版本の版木をはじめ、明治末年に江戸の書物問屋・地本問屋の出版物の古版木を購入し京都に移管、版木蔵に収蔵保管する。北斎の代表的絵手本『北斎漫画』『富嶽百景』、江戸期の原版木と認証された『芭蕉翁絵詞伝』『芥子園画伝』等、約十万枚の版木を保有。関東大震災や戦火により、江戸期から伝承された古版木の殆どが東京で焼失する中、京都へ移管されたため、同社保管の版木は幸いにして現在に伝えられています。
社名は富岡鉄斎の命名で「芸艸(うんそう)」とは、ミカン科の多年草で、漢名は「芸香草(うんこうそう)」。強い香気があり、昔から書籍を害虫から守る香草として使われてきました。

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